健康への影響

私たちが一般に電磁波と総称するものは、電離放射線(いわゆる放射線)以外の非電離放射線(静電磁界を除く)に該当します。電離放射線(放射線)と非電離放射線(静電磁界を除く)は以下のような物理的作用の違いがあります。

 

<電離放射線(放射線)>
電離放射線(放射線)は、細胞内の分子を結合させている原子結合を破壊することによって、プラスやマイナスに荷電した、原子または分離した分子を生成するのに十分なエネルギーを持っています。この作用を電離(イオン化)と呼び、人体への影響としては、いわゆる、がん化の原因となります。

 

<非電離放射線(電磁波と静電磁界)>
非電離放射線(電磁波と静電磁界)はどんなに強くとも、人体で電離作用を起こしません。しかし、組織における熱の発生、化学反応の変化、電流の誘導などにより生物学的影響を生じることは分かっています。

 

【バウビオロギー測定技術士が測定する電磁波スモッグとは】

バウビオロギー測定技術士が測定する電磁波スモッグとは、上記の表の非電離放射線に該当します。すなわち、超低周波電磁界、中間周波電磁界、高周波電磁界、静電磁界です。非電離放射線において、純粋に物理作用として人体のがん化はありませんが、生物学的作用による健康への影響(ウィルスを介在してのがん化)は、数々の国家機関、医師団体などから報告されています。

それぞれの電磁界での健康への影響について、以下のような報告があります。

 

【超低周波電磁界が健康に影響を与える事例の報告】

超低周波電磁界は、正確には、交流電場と交流磁場に分かれます。

 

<交流電場>

 交流電場は、高電圧電力線、家の電力設備、電化製品、延長コード、アースされて

 いない照明、鉄道の架線、変電所等で見出せます。

 交流電場は、電流が流れているか否かではなく、一つの電荷(電圧)があるところに

 常に存在します。
 つまり、アースされていなければ、照明のスイッチをオフにしても、それでも、

 交流電場が発生しています。
 私たちの体は、アンテナのように、常に電圧の元にあり、周りの環境からの交流電場に

 さらされています。特に、ベットで就寝している人体は、ベット自体がアースされて

 いない為、交流電場が停滞している状況です。

 交流電場への対策は、アースをとることで解決する場合が多く、人体への影響も私たちの

 皮膚がその多くを低減してくれることが多いとも言われています。

 

<交流磁場>

 現時点で、電磁波スモッグの中で、超低周波交流磁場はWHO(世界保健機構)が

 人に対して発がん性の可能性があると非常に注目しています。WHOの外部機関で

 あるIARC(国際がん研究機関)は2001年の発がん性評価において、2B、すなわち人に

 対して発がん性の可能性があると認定しています。電気機器、照明、調理機器など

 電気を使用する機器のスイッチがオンになった時に、交流電流が流れ、交流磁場が

 発生します。

 交流磁場は、交流電場と違い、私たちの皮膚は防御システムとして働きません。

 人体を貫通し、内臓器官、脳など、私たちの健康を司る大事な器官に直接的に

 ストレスがかかります。中川恭一医学博士は外部から加わる磁気エネルギーは、血液の

 電解質解離などに影響を与えており、それにより血液中のバランスが崩れると体調に

 大きな影響を与えると明言されています。

 磁気エネルギーは人体の内部環境である血液系のホメオスタシス(自律調整機構)を

 維持するように作用します。それは体内を巡る血液が運動エネルギーをもち、磁気は

 血液の電解質成分に作用して、運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換するためと

 考えられています。細胞の化学反応は電気現象でもあるため、間接的に細胞の代謝に

 影響を与えることとなります。

 

<交流電場、磁場によって引き起こされる可能性のある症状

主に交流磁場が原因ですが、電磁波により、脳の松果体で、セロトニンやメラトニンなどホルモンの分泌障害が発生することで、細胞の防御システムである免疫強化作用、抗酸化作用の低下が報告されています。

他にもうつ病、不眠症、身体全般の病の予防能力、抑制作用の低下が報告されています。

つまり、身体全般の免疫抵抗力の弱体と細胞活動の低下により、あらゆる病の元となりうる状況が私たちの身体に起きてしまうのです。特に小さいお子様は、小児白血病などとの関係も報告されています。


・頭痛/偏頭痛
・肩の緊張
・就寝中の過度の発汗
・不眠症
・うつ病
・子供のおねしょ
・高血圧
・目のしょぼしょぼ感など目に感じる不快感
・興奮状態による攻撃性が増す状態
・胃腸障害
・心臓不整脈
・細胞増殖、血中濃度の障害など

 

【中間周波電磁界】

中間周波電磁界は、私たちが日常よく使う家電製品から発生する電磁波にあたります。家電製品からは、他にも超低周波電磁界の電源であったり、高周波電磁界の電子レンジであったりしますが、主な家電製品から発生する電磁波は中間周波電磁界になります。中間周波電磁界で一番、気を付けるべき点は、電気毛布、電気カーペットといった日常で長時間の身体との接触がある家電製品です。特に距離の減衰が有効な対策となる磁界からの曝露は、逆に身体と接触のある電気毛布、電気カーペットはゼロ距離からの曝露となり、健康上、好ましくありません。

また、太陽光発電のパワーコンディショナーも要注意です。皆様がよく見ることのある、家の屋根に張り付けている太陽光発電設備には、パワーコンディショナーという部品があります。この部品はメーカーが適切な対策をしていないと3.5MHz~50MHz帯と中間周波電磁界から高周波電磁界に相当する非常に強力な電磁波を発生させます。到達範囲が半径100m以内と謳っているメーカーもある程です。なぜなら、パワーコンディショナーにはインバーターが搭載されており、このインバーターが、太陽光パネルで発電した直流電力を一般の電気製品で使用できる様に交流電力に変換する機能を持ち、電磁波が発生してしまう仕組みだからです。

 

【高周波電磁界】

高周波電磁界には、振動数の高い周波数を持つ高周波電磁波があります。

高周波電磁波を利用した製品としては、携帯電話(LTEなども含む)などの無線ネットワーク

コードレス電話 、電子レンジなどがあります。

生体組織を構成する分子の多くでは電荷に偏りがあり、電界は電荷に力を及ぼしますが、高周波電界は変化の非常に速い交流電界であり、振動が高速なので、摩擦によりエネルギーが失われます。このため、高周波電磁界の電力は体表に近いところで吸収されます。振動が速いほど、すなわち周波数が高いほど、電力の吸収が大きく、生体の表面付近で急激にエネルギーが失われます。

生体に吸収された電磁界のエネルギーは熱に変わります。熱作用といいます。

携帯電話のように高周波電磁界を身体に近接して使う機器では、身体の一部分が集中的に曝露されるので、電力吸収の偏りが著しく、最大の局所の比熱吸収率(SAR)は全身平均値の500倍以上にもなります。それだけ、局所、すなわち頭部、脳に熱が集中することになります。

他にも血液脳関門は、血液から脳組織の細胞外液に運ばれる物質を選択的に遮断する組織ですが、熱作用をともなう強い高周波電磁界の曝露によってこの組織の透過性が増加するとの報告があります。つまり、脳への有害物質のフィルターが有効に働かなくなる危険性があります。


<高周波電磁波によって引き起こされる可能性のある症状
・有害物質から脳を守る免疫系(血液脳関門が正しく働かない)
・細胞のカルシウムイオンを不必要に流出させる

 カルシウムイオンは、心臓や脳にとって大事な物質です。

 カルシウム摂取が不足すると血管等の軟部組織にカルシウムが逆に増え、動脈硬化、

 糖尿病、高血圧など様々な疾病が起こるカルシウム・パラドックスを引き起こします。

 カルシウムイオンは神経伝達物質の産生を促し、神経の刺激伝達に必要な栄養素です。

 他にも心筋の収縮作用やナトリウムイオンとカリウムイオンの拮抗作用といった

 大事な役目があります。

 

【静電磁界】

静電磁界は電磁波が発生しません。主な発生源は地磁気、利用先はMRIなどになります。

静電磁界には静電界と静磁界があります。

 <静電界>

 強力な静電界による放電を除いて、静電界には明らかな健康影響はないと考えられます。

 <静磁界>

 非常に強い静磁界は血流を変化させ、正常な神経インパルスに変化を与えますが、

 日常生活では、まずはありません。しかし、労働環境において、長期ばく露の影響

 についてはデータが不十分です。