ゲーテについて

私はドイツのフランクフルトに住んでいます。

フランクフルトの見所や名物は色々とありますが、今日はその中でも当地で生まれた偉大な先人、ゲーテについて書いてみようと思います。


ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、1749年8月28日にフランクフルトで生まれました。3日前の2014年8月28日で生誕265周年を迎えたことになります。(上の写真は生家)


ゲーテはどんな人だったのでしょうか?

一言で表すなら、「超人」と言えるかもしれません。

なにしろ、職業別に表現すれば、詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家、

音楽家などが代表的に挙げられます。

また、学問的な知識や素養といった点では、基礎科学の3本柱である社会・人文・自然科学や

応用科学の大部分を網羅し、こんにちの統合科学の先駆けともなりました。


具体例を挙げるならば、

・少年時代に英語、フランス語、イタリア語、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語を習得

・現代ドイツ語の父(ルターのドイツ語訳聖書から発展した現代ドイツ語を完成させた)

・ニュートンの光のみをベースにした色の解釈に反論し、光と闇による相互関係によって

 色が生成されるとし、色の三原色を定義して、人の精神への影響まで研究した

・33歳で皇帝より貴族に列せられ、政治家としてはヴァイマル公国の宰相となった

・公務のかたわら、人体解剖学、植物学、地質学、光学を研究し、解剖学では前顎骨が

 ないとされていたにも関わらず発見、植物学では進化論の先駆けとなる学問を提唱

・シューベルトやリストなどの著名な作曲家が作品に曲をつけた(魔王、野ばらなど)


私個人は、ゲーテは、「人という存在への飽くなき根源的追求と中庸的な人間讃歌」を

実践し続けた人だと思います。


ゲーテは、以下のような数々の名言を残しています。


“Sobald du dir vertraust, sobald weißt du zu leben.”
「自分自身を信じてみるだけでいい。
 きっと、生きる道が見えてくる。」

(格言と反省、から)



“Man reist ja nicht, um anzukommen, sondern um zu reisen.”

「人が旅するのは、到着するためではなく、旅するためなのだ。」

直訳すればそのようになりますが、次のようにも意訳できます。

「人が生きるのは、天国や極楽にたどり着くためではなく、この世で生きるためなのだ」

(友人のヘルダー夫妻の手紙、から)



“Sofort nun wende dich nach innen,
  Das Centrum findest du da drinnen
  Woran kein Edler zweifeln mag.
  Wirst keine Regel da vermissen,
  Denn das selbstständige Gewissen
  Ist Sonne deinem Sittentag.

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  Genieße mäßig Füll’ und Segen,
  Vernunft sey überall zugegen
  Wo Leben sich des Lebens freut.
  Dann ist Vergangenheit beständig,
  Das Künftige voraus lebendig,
  Der Augenblick ist Ewigkeit.”


「ただちに内部に向かえ、
 そのなかに中心が見つかる。
 どんな貴人もそれを疑いはしない。
 きっとそこに規則が見つかるだろう。
 独立の良心こそ
 君の道義の日の太陽なのだから。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 ほどよく充実と浄福を楽しめ、
 生が生を楽しむところには
 常に理性をあらしめよ。
 そうすれば、過去は常住にあり、
 未来はあらかじめ生き、瞬間は永遠となる。」
 (「遺言」一八二九年二月作詩、から)